災異説におけるコロナ論 第三話

 

 最初の方は高級ホテルで面談していたが、なぜか、今はジョ◯サンである。
 すでに川中島もその理由は忘れていたが、たしか、先方の家に近いから楽だとか、そんなどうでもいいレベルの理由だったような記憶がある。

 さて、川中島が気づけば、すでに来客は目の前の上座に座っていた。

「・・・・・・」

 こちらを睥睨する、大柄な体格の老人のそれである。
 しかし、好々爺の擬態を台無しにするのが、獰猛な知性がそのまま表に出たような、鷹のような鋭い眼光である。

 権力を握り、多くの人間の生活や命に責任を持ってきた者のみが持つ、眼力がある。底辺の川中島としては、あまり好きな目ではない。

 しかし、人間を必要に応じて動かさなければならない必要性から、彼らの眼力は、一種の呪術的な魅力を放射する。

 例え、術を使わない「ただの権力者」ですら、まるで媚蠱の瞳術のようなカリスマ性を持つようになるのだ。川中島は、これは、人間の進化心理学的な遺伝子の能力だと見ている。生き残るために集団を組織するために必要から生まれた人類の進化の能力。

 そして、恐らく・・・全体の利益のために人を犠牲にしてきた目でもある。

「あっ、春日(かすが)先生、お久しぶりです。本日はご足労頂きありがとうございます」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

 沈黙が続く。別に川中島は、老人と、中学生の思春期のデートをしているわけではないので、高級ヒー(高級コーヒー)を啜って、向こうが話すのを待つ。

「して、今日は何を聞きたい?」
 
 抜けきれない、関西弁のイントネーションを含んだ言葉。
 いつもながら無駄に偉そうな(実際、偉いのだが)、態度である。

 毎回、特にテーマは決まっていない。
 その時、その時の気分で決定する。

 川中島は、すでに今回の質問事項を決めていた。

「今、中共武漢に端を発した、世界的な感染症コロナウイルスについてお聞きしようかと思っています。今回、これが何故、疫病として世界的な爆発で発現したのでしょうか?」

 しばらくの沈黙。
 しかし、沈黙を挟んだ答えは意外な物だった。

「下らん・・・」

 下らんと言われても、今や世界中のビッグウェーブである。
 川中島は呆れて問い返した。

「下らぬことはありません。致死率10%超えの疫病ですよ? 今後も、スペイン風邪を前例とするならば、より致死率の高い第二波、第三波が想定されます。すでに国内だけで緊急宣言、自粛で経済が壊滅状態です。下手すれば、世界大戦まで再現する可能性すらあります」

 特に、免疫が低下したお年寄りの貴方にとっても重要毎でしょう? 

 と、川中島は言いかけてやめておいた。荒行で鍛えたこの老人の方が、不摂生をしている若い川中島よりも健康そうだ。

「疫病は人類の友であろう。理由も何も無い。自然に理由があるのか?」

 嘲笑するように言ってくる春日。 
 嫌な友達である。正直、そんな友達はいらない。少年漫画的な、強敵と書いて、”とも”と呼べる関係とでも、言うのだろうか?

 もちろん、そういうことを聞きたいのではないことは、百も承知で言っているのである。

「はい、疫病を含めた天変地異の災害は、陰陽的に意味がある、と考えます。董仲舒の災異説を見るまでもなく、”我々”の考えでは、当然、それに意味を付託して見るのが当然かと」

董仲舒か・・・」

 

 

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 災異説におけるコロナ論 まとめ

 

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