災異説におけるコロナ論 第二話

 

 川中島は、総武線から、さらに乗り継いで、目的の駅に到着してから、ぶらぶらと歩いた。

 やはり、土曜の東京の駅前の繁華街にしては、人の姿が足りない。
 何の罪も無い無辜の民である、商店街の人間にとっては、ひたすら迷惑な災禍であろう。

 すでに、日本全国で、観光業を始め飲食、不動産にまで空前絶後の不況に突入しているとも言える。

 風邪ごときに、ビビってる都民も大概だが、それよりも、マクロな話として、思うところがある。
21世紀になって、感染症一つで、経済システムに甚大な影響を与えるというファンタジーな現実である。

 川中島は、盤石と思われていた世界というシステムの、意外な脆弱さに驚愕しつつつ、目的地のファミリーレストランのジョ◯サンに辿り継いた。

 ドリンクバーを店員に注文する。

「ドリンクバーにはもったいないコーヒーが生まれました」

 と、ドヤ顔で自画自賛する宣伝文紙が貼られてあるドリップ機器にイラッとしながら、高級ーヒー(高級コーヒー)を注ぐ。
 席に運び、川中島は、今から面談する相手のことを考える。

 川中島の身分は、刺身にタンポポを載せる非正規雇用のライン工、中卒の底辺階級である。
 しかし、なぜか、子供の頃から宗教や占いやオカルト分野に、異常な興味があり、その縁で、身分不相応の階級への人脈がある。
 
 今日、会うのもその階級(エスタブリッシュメント:Establishment)の一人である。

 元々は官僚(キャリア)であったが、退官した後、なぜか大学を入り直して神主となり、その後、陰陽道に転向した、訳のわからない経歴を持つ人間である。

 通常は、インテリはこうした世界には関わらない。逆にこうした世界にはインテリはいないのが常である。

 圧倒的な膨大な知識と、常軌を逸した頭のおかしいハードな行を修めた彼は、
 行学兼備の無二の存在として、
 表には出ない政財界の相談役(フィクサー)として、
 宗教家の指南役として、
 占術界においても、師匠の師匠と渾名を与えられる存在として、

 その辣腕を振るった後に、あっさり引退して今に至る。

 底辺層の川中島とは真逆の階級であるが、底辺の川中島に何を見たのか、定期的に彼に、講義を受けることになって今に至る。

 講義と言っても、内容的に雑談というより問答である。
 日本の歴史から宗教まで、内容は文字通り雑談である。

 ただし、ソクラテスの問答の如く、常に師匠が弟子に試すような問答ではあるが。

 が、彼の語る話は、川中島のような平民の常識の、遥か上空三千マイルの世界観であることが多く、平凡な市民である川中島は、目から鱗を何枚落としたことかわからない。

 別に、相手にとっては、一銭の儲けも無い話ではあるが、貴族の戯れなのか、川中島に興味を持った先方が相手をしてくれ、貴重な知識を教授してくれる。

 川中島にとっては、願っても無い僥倖であり、相手との関係は数年に渡って、続いている。

 

 

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 災異説におけるコロナ論 まとめ

 

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