災異説におけるコロナ論 第十五話

 五行論は、世界の全てを、分類整理する古代思想である。

 そして、その分類法は、別に五つでなくても良い。
 例えば、八卦のシステムなら8パターンでもいいし、易ではさらにそれを重ね合わせて、8×8の64パターンの卦を構築する。ぶっちゃけ、分類数は、いくつでもいいのである。
 西洋やインドでは、五行ではなく、地水火風の四元素に分類していた。
 極限すれば、陰陽の二元論でもいいのである。

 無論、分類する数が少ないほど、抽象的になり曖昧になる。世界の人類を分類する時、日本人という括りはそれなりにその人間の特徴を分類出来るが、それでもなお個人の人格を規定するには、もっと細かいレイヤの分類が必要であろう。

 要するに、この複雑精緻な「世界」「宇宙」を、有限の数に閉じ込め、認識するという思想である。

 世界を全て内包してしまうがために、当然、そのカテゴライズの対象には、人間も含まれる。
 人間の思考や感情、行動パターンも全て含まれる。
 単純な物理的な区分ではない。
 本当に「全て」を内包させてしまうのだ。

 そして、人間の道徳倫理という高次の情動も、恋愛をドーパミンの仕業と揶揄する雅の無い唯脳論者の如く、木火土金水の五行の物理的な五パターンに分類してしまうのである。
 その意味では、古代思想のこれらの思想は、唯物論でもある。
 ※旧ソ連の唯物弁証法を見ると、陰陽論に極めて近い。

 その、五行分類の、徳目(道徳)が、日本人なら誰でも聞いたことがあるであろう、仁義礼智信の五つの文字である。

 特に仁義という言葉は、日本のマフィアであるヤクザが使う用語として、日本人にはお馴染みである。
 本来は、仁義だけでなく、仁義礼智信の五パターンであるが・・・。
 仁義礼智信忠孝悌の八パターンも、日本では里見八犬伝などで有名である。

 ちなみに、日本では元ネタから引っ張ってくる時に、省略されるということはよくある話である。
 孫子から引用した武田軍の風林火山の四文字は誰でも知っているが、孫子の元ネタは四文字ではなく、本来は六文字である。
 元ネタが冗長なので、全部引っ張ってくるのが、面倒だからと言った理由である。

 木は、五行唯一の生物(植物)である。
 季節は、春に該当し、冬の死滅した状態から芽吹く、万物を活かす生命力であるがゆえに、仁(慈悲)の徳目を持つ。

 火は、夏であり、炎上する様を表す。
 火が、天に上昇する性質や、光輝く照らす意味から、集団の上位の存在や身分やリーダーを象徴し、その結果、身分を表す礼の徳目を持つ。伝統的な情報では無いが、川中島は、感謝の感情も火ではないかと推測している。

 土は、季節の替わり目の土用で、中央を表す。
 土が堆積する性質と、万象を産み出しその上に載せる大地の性質から、人間の道徳の中で一番中心である、信(信用)の徳目を持つ。例えば、現代社会の中心である資本主義において、通貨が信用で成り立っていることを見ればその重要性が理解出来るであろう。

 金は、収穫の秋である。
 刈り入れの鎌の金属は、そのまま鋭利な武器となる。
 武器は軍事力となり、暴力であり武力である。
 自分の義(正義、大義、義侠心)の徳目を持つ。

 水は、あらゆるものが死滅する冬を表す。
 その性質上、形を持たず、あらゆるところに広がり下に浸透する。
 決して留まらず柔軟で、自由で平等である。
 世間が広がれば、それは固定化した井の中の蛙から、違う世界の大海を知ることが出来る。
 それは、一切が死滅し、あらゆる束縛から離れた境地、死そのものである。
 よって、智の徳目を持つ。

 もともと、災異説は、為政者の徳目が薄れると、天が警告を出し、それでも為政者が悔い改めなければ、五行がエラーを起こし、その結果、天災地災人災が起き、怪しい怪異が起きる、という思想であった。

 当然、五行的な意味での、徳目のエラーが、一番に関係有るのは言うまでもない。
 早い話が、五行の倫理道徳である、仁義礼智信五常こそが、一番の核である。
 いわば、災異説という今回の話で、一番大事な箇所であり、それを忘れていた川中島に、春日が激怒するのは当然である。

 まさに枝葉末節に捕らわれて、根本を忘れていたと言われても仕方がない。

 

 

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 災異説におけるコロナ論 まとめ

 

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